バックルームズは実在する?異空間の謎を検証

何気なく歩いていた廊下で、突然、壁の向こう側に落ちてしまったら……。

目の前に広がるのは、黄色い壁紙、古びたカーペット、そして、いつまでも鳴り続ける蛍光灯の音。どこまで歩いても同じような部屋ばかりで、出口が見つからない。

インターネット上で語られる都市伝説「バックルームズ(The Backrooms)」は、そんな恐ろしい異空間を描いた物語だ。

しかし、ここで気になる疑問が浮かぶ。

バックルームズは、単なるネット発のホラー作品なのだろうか。それとも、私たちが知らない現実世界の裏側が存在する可能性はあるのだろうか。

今回は、バックルームズ誕生の経緯や元になった写真の正体を調べながら、現実と都市伝説の境界線を探っていく。

この記事の結論

  • バックルームズのような異空間が実在するという科学的証拠は、現在確認されていない。
  • 都市伝説のきっかけとなった黄色い部屋の写真は、アメリカの店舗の改装時に撮影されたものと特定されている。
  • ただし、現実の建物なのに不自然で不気味に感じられる空間は存在する。

バックルームズとは?現実の裏側に広がる異空間

バックルームズは、2019年ごろにインターネット上で広まったホラー系の都市伝説だ。

代表的な設定では、人間が現実世界の物理的な境界をすり抜けるようにして、通常では行けない場所へ落ちてしまう。

この現象は、ゲームなどでマップの床をすり抜ける動作になぞらえて「ノークリップ(noclip)」と呼ばれている。

ただし、これはバックルームズの物語上の設定であり、現実に確認された物理現象ではない。

なぜバックルームズは恐ろしいのか?

バックルームズの恐怖は、怪物や幽霊が登場することだけではない。

むしろ、何も起きていないように見える空間そのものが、人間の不安を刺激する。

  • 終わりが見えない:どこまで進んでも似たような廊下が続く。
  • 出口が分からない:自分がどこにいるのか、どこへ向かえばよいのか判断できない。
  • 生活感だけが残っている:人がいるはずの場所なのに、誰もいない。
  • 音が消えない:蛍光灯のうなりや空調のような音が、静かな空間に響き続ける。
  • 何かがいるかもしれない:姿が見えないからこそ、想像が膨らんでしまう。

普段なら何とも思わない廊下でも、出口がなく、同じ景色が永遠に続くとしたらどうだろう。

自分が今いる場所を信じられなくなること。それこそが、バックルームズという物語の恐怖の核心なのかもしれない。

バックルームズの元になった写真は本物だった

バックルームズについて調べるうえで、外せない事実がある。

あの不気味な黄色い部屋の写真は、実際に存在した建物の内部を撮影したものだった。

2024年6月10日、GIGAZINEはバックルームズの起源となった写真の出所が判明した経緯を紹介している。

写真の出所は、アメリカ・ウィスコンシン州オシュコシュにあった店舗の改装記録だった。古びた黄色い壁紙やカーペット、蛍光灯の並ぶ天井などが写っており、その光景がネット上で不気味な空間として注目されるようになった。

写真の正体が判明したのは、画像のファイル名や過去の掲示板への投稿、保存されていたウェブページなどを、ネットユーザーたちが丹念に調査したためだ。

参考:GIGAZINE「The Backrooms」の起源となった画像の正体はどうやって判明したのか?(2024年6月10日)

写真の正体が分かっても、なぜ不気味なのか?

写真が実在する部屋のものだったと分かっても、その光景が人に与える不気味さまで消えるわけではない。

家具がなく、窓も見えず、壁や床の色が単調で、似たような空間が続いているように見える。

そこには、普段の生活で見慣れているはずの建築物なのに、どこかがおかしいという感覚がある。

こうした、見慣れているのに落ち着かない空間は「リミナルスペース」と呼ばれる表現と深く結びついている。

もちろん、リミナルスペースは異次元の存在を証明するものではない。しかし、普通の場所が不思議な恐怖を生み出すことを理解する手がかりにはなる。

バックルームズはいつ誕生したのか?

バックルームズは、古くから伝わる怪談というよりも、インターネット上で生まれ、利用者たちによって設定が広げられていった都市伝説だ。

2019年5月:黄色い部屋の写真が話題に

2019年5月12日、海外掲示板4chanの超常現象を扱う掲示板に、不安を感じる画像を投稿するスレッドが立てられた。

そこに投稿された黄色い部屋の写真が、バックルームズの物語につながるきっかけとなった。

翌日には、現実から外れてしまった人間が、無数の空っぽの部屋に閉じ込められるという趣旨の文章が投稿された。

その設定にさまざまなユーザーが物語を加え、バックルームズは一枚の写真から独自の世界観を持つホラーコンテンツへと発展していった。

2022年:映像作品によって世界的に広がる

2022年には、映像制作者のケイン・パーソンズ氏がバックルームズを題材にしたYouTube作品を公開した。

実際に撮影された記録映像のような演出によって、視聴者は架空の空間を現実の出来事のように感じられる。

その映像表現はバックルームズの知名度を大きく押し上げ、ゲームや映像作品、ファンによる独自の設定など、さまざまな形で世界観が拡張されていった。

参考:404 Media「Internet Sleuths Finally Find Origin of ‘The Backrooms’ Creepypasta Image」(2024年5月30日)

現実世界にも、バックルームズのような場所は存在する?

ここからは、都市伝説の設定と現実に確認できる現象を分けて考えてみよう。

1.誰もいない地下通路や大型施設

地下通路、閉店後のショッピングモール、無人のオフィスなど、現実にもバックルームズを連想させる場所はある。

同じような照明や壁が繰り返され、目印が少ない空間では、方向感覚を失いやすい場合もある。

ただし、建物が迷路のように感じられることと、現実世界の外側に通じていることは別の問題だ。

2.見慣れた場所なのに、なぜか怖い

昼間は普通の廊下でも、夜中に一人で歩くと、まったく違う場所のように感じられることがある。

人の声や生活音がなくなると、普段は気にしない機械音や照明の音が目立つ。さらに、見通しの悪い場所では、その先に何があるのか分からないという不安も生まれる。

こうした感覚は、超常現象を持ち出さなくても、環境やそのときの心理状態によって説明できる場合がある。

3.夢の中で、出口のない場所をさまよう

夢の中で、同じ廊下を何度も歩いたり、出口を探しても見つからなかったりした経験はないだろうか。

夢の内容は現実の出来事と同じではない。夢で不思議な場所を体験したことも、別の世界に実際に移動した証拠にはならない。

しかし、夢の中で感じた恐怖が、目覚めたあとも強く印象に残ることはある。バックルームズの映像がリアルに感じられる理由を考えるうえでも、こうした体験は興味深い。

科学的に考えると、異次元への入口は存在するのか?

物理学では、私たちが日常で認識する空間のほかに、追加の次元を想定する理論なども研究されている。

しかし、理論上の可能性と、実際に人間が壁をすり抜けて異空間へ移動できることは同じではない。

バックルームズのように、現実の建物から突然別の空間に落ち、出口のない世界に閉じ込められるという現象を裏付ける、信頼できる科学的証拠は確認されていない。

また、インターネット上で「異次元への入口を見つけた」「謎の空間を撮影した」といった投稿があったとしても、それだけで実在の証明にはならない。

撮影場所、映像の編集、投稿の経緯、第三者による検証などを確かめる必要がある。

現時点での正確な結論は、バックルームズの実在は確認されていない、ということだ。

なぜ人は「現実の裏側」という話に引きつけられるのか?

バックルームズが人を引きつける理由の一つは、日常と非日常の境界線が曖昧に描かれていることだろう。

ドラゴンや宇宙人のように明らかに非現実的な存在が登場するわけではない。そこにあるのは、誰もが見たことのある壁、床、照明、廊下だ。

だからこそ、見る側は「こんな場所なら、どこかに本当にあるのではないか」と想像してしまう。

さらに、出口が見つからないという設定は、自分で状況をコントロールできない恐怖を生み出す。

何が起きるのか分からない。どこへ進めばいいのかも分からない。しかも、異常なことが起きているのに、景色そのものはどこか見慣れている。

バックルームズの恐怖は、未知の怪物よりも、「いつもの現実が、ある瞬間から信用できなくなる」という感覚にあるのかもしれない。

バックルームズに関するよくある疑問

バックルームズは本当に実在する?

バックルームズのような無限の異空間が実在するという科学的証拠は確認されていない。現在知られているバックルームズは、インターネット上で発展したホラー作品・都市伝説として扱うのが適切だ。

元になった写真はCGやAIで作られたもの?

起源となった写真は、アメリカ・ウィスコンシン州オシュコシュの店舗改装時に撮影された写真と特定されている。少なくとも、あの有名な写真そのものは、架空の異空間を撮影した証拠ではない。

バックルームズに落ちたら、絶対に出られない?

「出口がない」「脱出できない」というのは、バックルームズの物語上の設定だ。現実にその空間へ落ちた人がいると確認された事例はなく、脱出の可否を検証できる状況も確認されていない。

バックルームズには怪物がいる?

怪物や異常な存在が登場する設定は、ネット上の物語や映像作品の中で発展したものだ。現実の場所にそうした存在がいると裏付ける証拠は確認されていない。

まとめ:本当に怖いのは、現実と非現実の境界線かもしれない

バックルームズは、黄色い部屋の写真から始まり、世界中のネットユーザーによって育てられてきた都市伝説だ。

2024年には、元になった写真の出所がアメリカの店舗の改装記録にたどり着いた。写真の正体が明らかになったことで、少なくとも、その一枚が異次元の証拠ではないことは分かっている。

一方で、現実の建物が不気味に見えることや、出口のない空間を想像して恐怖を感じることまで否定されるわけではない。

科学的な証拠がないものを、実在すると断定することはできない。しかし、だからといって、都市伝説が人の想像力を刺激する面白さまで失われるわけではないだろう。

もし、いつもの廊下を歩いているとき、ふと見覚えのない扉を見つけたら……。

その先にあるのは、ただの倉庫だろうか。それとも、自分が知っている世界とは違う何かだろうか。

もちろん、これは都市伝説としての想像にすぎない。

それでも、バックルームズという物語が私たちに問いかけているのは、こんなことなのかもしれない。

「自分が現実だと信じている世界は、本当にすべてなのだろうか?」

あなたは、バックルームズが単なる創作だと思うだろうか。それとも、まだ知られていない空間の謎に興味があるだろうか。ぜひコメントで考えを聞かせてほしい。


参考資料

※本記事は公開資料に基づき、創作上の設定と確認できる事実を区別して構成しています。異空間や超常現象の実在を断定するものではありません。

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